ほんまもんでいきなはれ

少し前の日曜のお昼、何気なく見ていたテレビ。トモちゃんこと華原朋美が、あるお寺の尼さんを訪ねるというものでした。その尼さんが村瀬明道尼でした。後で知ったことですが、NHKの連ドラ「ほんまもん」の主人公に料理を教えるあんじゅ様のモデルとなったかたで、有名だったんですね。私は、全然知らなかったのですが、TVで紹介された彼女の一生と、TVから感じる彼女自身のお顔、お言葉が「ほんもの」だなって思い、いちいち涙が出て困りました。

39歳の時、事故で右半身不随になった後、精進料理の研究をされ、今でも左手でゴマ豆腐の仕込を夜中からされるそうです。もう、80歳を超えられています。特に印象的だったのが、トモちゃんが「命をかけた恋もダメになったこともありました。・・・・私、これから幸せになりたいんですけど」と明道尼に問うと、きっぱりと「今でも十分しあわせやんか。好きなことできて、好きなとこいける」とおっしゃる。また、初老の女性が連れ合いを残して自分が先に逝ったらどうしましょうという心配を相談すると、「死ぬときは死ぬ。そんなん生まれたときからきまってるさかい、こわがらんでもええ。みんな別々の日に生まれたんだから、死ぬときも別々。それに、心配せんでも、男なんて、先にいったかて、後おったりめったにしまへん」みたいな感じで答えられてました。この人が言うから、心に届く・・・不思議な魅力の方だなと思って、さっそく著書を探したらありました。

「ほんまもんでいきなはれ」私が受けた印象が「ほんもの」だったので、このタイトルには、納得でした。(笑)9歳で京都の寺の養女となり仏門にはいり、そこの師匠との長い間の葛藤、25歳も年上の老師に恋をしてしまい、生涯彼への愛情をつらぬいているご様子。何度かの出奔、交通事故。本当に波乱万丈で、あっというまに読み終えました。会いたいな、と思わせる本でしたね。住職をされている月心寺は曹道宗でもなく臨済宗天龍派でもなく単立寺院とのことで、型にはまらなし生き方をしてきた明道尼さんにぴったりだと思いました。このお寺は滋賀県大津市にあるそうで、お、マンダラさんの近くです!訪ねてみたいです。

「ほんまもんでいきなはれ」 村瀬明道著 文藝春秋刊 より

「一歩を踏みとどまるのも強さなら、踏み出すのも強さ。思い切れない弱さもあれば、抑えられない弱さもある。すべては同じ生きている人間としての脆さであり、逞しさなのにちがいありません」

そう、尼さんだって同じ人間。だからこそ、彼女の一言、一言が心にしみたのだと思います。どんな苦境も受け止め、精一杯生きてこららたからこそ、あの笑顔があるのだな。
9月は、なぜか落ち込みがちなので、とってもいい薬になりました。
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by looktothisday | 2006-09-10 21:41 | 日々思う事