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Spirits in Prince Edward Island

1997年8月。私の長年にわたる夢だったカナダ、プリンスエドワード島を訪ねるという夢がかないました。福岡、成田、カルガリー、トロント、ハリファックス、シャーロットタウン。エルムウッド・ヘリテージ・インにたどり着いたのは、家を出て丸一日以上経っていました。本当に遠いのね・・・

旅の疲れでぐっすり眠って目覚めた朝。ベッドから出て、美しい部屋にうっとりしながら窓辺のソファに向おうとした途端・・・全く、ふいに雷に打たれたように身体がガタガタ震えだしたのです。寒いとも思ってなかったのに悪寒というのか、歯もガチガチ言うし、あわててベッドに戻りました。Oちゃんに暖炉の火をつけてもらいました。でも、恐くてでれないんです。彼女は全然平気と言います。風邪かもしれないので、持ってきた葛根湯を飲み、何枚も重ね着をして、そーっと起きてみました。少し寒いとは思うけど、先ほどの悪寒は消えていました。

それ以来、窓辺には近付きませんでした。「何かしら、ある・・・」私は霊感はありません。ただ、この島にいる間中、”何”か感じるものがあったのです。思えば、この島に来ると決めてすぐ、アンの話の舞台となった「グリ-ンゲイブルス」でボヤ騒ぎがありました。私行かない方がいいのかしらって、思いましたっけ。(←偶然でしょうけど)

決定的なことは「赤毛のアン」の作者、モンゴメリが育った母方の祖父母の家、マクニール家の跡地で起こりました。そこには、もう家は残っていなくて、小さなブックストアがありました。私は、家の建っていた場所にしばらくたたずみ、ふとそのブックストアの方を振り返ると、ほんの一瞬、セピア色の昔風のドレスを着た女性の幻影を見ました。いや、見た気がしました。後にも先にも、そんな経験はありません、今の所。

この場所は、観光地化されている「グリーン・ゲイブルス」よりも、ずっと、物語やモンゴメリを感じられる場所です。彼女が勤めていた郵便局からこの家までのショートカットを歩くと、金色の小麦畑をわたる風には、かすかに海の香りがします。暮れていく8月の午後の陽射しを斜めにみながら、とても、なつかしい気持ちになったのを覚えてます。

もしかしたら、もしかしたら、不思議な出来事はこの島の精霊たちの「いたずら」だったのでは、ないだろうか・・・この島にいる間、私の持てるだけの感性はすっかり、研ぎ澄まされていたので、普段感じないものまで感じたのではないだろうか・・・
今もそういうふうに考えるのが好きです。

by looktothisday | 2006-04-21 20:44 | Canada 1997